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英語力

大学院での研究を進めていくうえで,英語の文献を読まずにすませることはほぼ不可能です。また,考えていくうえで読みたい文献が英語でしか読めないとき,英語であるがゆえにあきらめなければならないとしたら,とても残念なことだと思いませんか? 英語文献はコツをおさえながら少しずつ慣れていくことで読めるようになります。自分の研究や思索に必要な英語力はぜひ身につけたいものですね。

英語文献の読解力をつける方法は,自分なりに多くの文献を読みこなすことしかありません。その時,自分に対して厳しい条件を課してください。「何となく」わかることでよしとするのではなく,「ここはつまり何を言っているのだろう」と,常に自分に問いかけながら読み進めていくわけです。

このセクションでは,英語文献を読み進めるのに必要なコツを,実例をもとに示していきます。1つ1つのコツは小さなものですが,これを積み重ねていくことで今までにない理解に到達できるはずです。

なお,英文を読みこなすためのヒントや考え方については,院試塾サイトのコラムもあわせてご覧ください。また,院試塾では大学院入試英語講座として「総合通信指導コース」「短期添削コース」「英文輪読ゼミ」「英語質疑応答ゼミ」等の講座を用意しております。

Table of Contents
注意すべき語句 develop New!(02/21)
複合語の読みこなし N+Ving型複合語  
N+Ved型複合語  
名詞化構文の読みこなし 名詞化構文の基礎  
名詞化構文の応用  
さらに読みこなしていくために  
Concealed Questions  

注意すべき語句

基本的な英単語だからといって,その意味がきちんと把握できているとは限りません。単に「訳語」で理解するだけでは,本当の意味でわかっているとは言えない語句も多く存在します。この項では,院試塾の英語指導で特に問題となることの多い語句をとりあげ,検討していくことにしましょう。

develop

developというと「発達する/させる」ときわめて直訳的に処理する人が多いのが実情です。しかし,たとえばAs he grew older, he developed a tendency to obstinacy.ランダムハウス英語辞典)といった文の場合,「発達させる」と訳すのは明らかに不自然です。「持つようになる」と考えるのが適切で,実際,『ランダムハウス英語辞典』でも,「〈資質・性質・癖などを〉持つようになる」という語義を挙げています。Collins COBUILD on CD-ROMを見ても,If you develop a habit, reputation, or belief, you start to have it and it then becomes stronger or more noticeable.という説明があります。

特に注目しなければならないのが,「発達させる」は,元々存在するものを,意志や努力によってさらに大きく,よくしていく,という意味に限られるのに対して,ここで見たdevelopには,元々ないものを持つようになる,という意味も含まれている点です。これは,上で見たCOBUILDの説明のyou start to have itの部分にもあらわれています。

自動詞の場合についても考えてみましょう。A problem has developed.研究社新編英和活用大辞典)のdevelopは訳語で言うと「生じる」となります。英英辞典の定義ではA row developed over the escape of two prisoners. [株式会社研究社 新編英和活用大辞典]Collins COBUILD on CD-ROM)となり,これもやはり「発達する」ととらえるとかなりずれてしまうことになります。なお,この例文のoverの用法についても,あわせて確認しておくとよいですね。

関連事項として,developing / developed countriesという表現も確認しておきましょう。これはそれぞれ「発展途上国」「先進国」となります。特に後者については,自動詞のdevelopが過去分詞になって名詞を修飾しているわけですが,自動詞の過去分詞は「完了」を表す点に注意しましょう。つまり,「先進国」というのは「発展しきった国」という意味だ,ということですね。

複合語の読みこなし

N+Ving型複合語

特に学術的な内容の英文では,複合語が多く用いられます。複合語とは「語+語」という形で1つの意味を表す語で,基本的には構成要素となっている語の意味を組み合わせれば全体の意味がだいたいわかるようになっているものが多いのですが,基礎知識がないと読みこなしが困難になることもあります。中でも特に問題となるのが,N+Ving/N+Vedの形式を持つ複合語です。

たとえば,It's just very time-consuming to get such a large quantity of data.(Collins COBUILD on CD-ROM)time-consuming「時間のかかる」という複合語を考えてみましょう。これはN+Ving型の複合語ですが,根底にあるのは「動詞+目的語」の関係です。つまり,上の文はおおまかに言えばIt [V]consumes [O]a lot of time to collect such a large quantity of data.となるわけです。このタイプの関係に基づくものが,N+Ving型の複合語の基本となります。

また,一部には「動詞+前置詞+名詞」の関係に基づくものもあります。たとえばGun ownership by law-abiding people was not a problem.(Colling COBUILD on CD-ROM)law-abiding「法律をきちんと守る」はabide by lawから作られています。

N+Ved型複合語

続いて,N+Ved型複合語についてみてみることにしましょう。最も多いのがgovernment-owned「政府保有の」のように,owned by the governmentと言い換えられる,つまり「過去分詞+動作主のby+名詞」の関係に基づく形です。たとえばgovernment-owned corporationsといった形で用いられますが,元の形を考えてみると[S]The government [V]owns [O]corporations.となり,複合語に含まれるN (=government)が元の文の主語,複合語によって修飾される名詞が元の文の目的語になっています。過去分詞は元の文の目的語,つまり対応する受動文の主語を修飾するという基本にしたがっているわけですね。

しかし,N+Ved複合語にも,N+Ving複合語の場合同様,「動詞+前置詞+名詞」の関係に基づくものが多く見られます。このような複合語を読みこなす場合には,元の連語関係に関する知識が不可欠です。たとえば,computer-based jobsbased on ~が元になっており,The jobs are based on computers.という文と関係があると考えられます。また,この形でよく用いられるものとして~-orientedという形があり,a market-oriented economyがその一例です。この元になっているのはoriented to ~で,上の句はThe market is oriented to market.という文との関係でとらえることになります。

その他の複合語

さらに考察を進めてみましょう。~-orientedの変形として,たとえばvocationally oriented coursesのように,前に置かれる名詞の代わりに副詞が用いられることがあります。このvocationallyは名詞vocationの副詞形で,ここではorientedという(動詞由来の派生)形容詞にかかるために副詞になっていると考えます。これをたとえば「職業的指向性のある授業」などと理解したのでは,何を言っているのか意味不明になってしまいますね。これはcourses oriented to vocationsと考えるべきで,orientedの基本用法に関する知識を活用して解釈する必要があるわけです。これを応用した読みほどきについては,院試塾コラムの「英語が読めるようになるには…」を参照してください。

また,形容詞が中心となる複合語についても,やはり同様に基本語法の理解が読みこなしに関して不可欠であるケースがあります。たとえば,prone to ~を元にした複合語としてerror-prone/accident-proneなどがあり,これも上述の手法で元に戻して読むと意味がよくわかるでしょう。

名詞化構文の読みこなし

名詞化構文の基礎

ある程度抽象的な内容の英文を読みこなすときに大きな障害となりやすいのが,名詞化構文です。まず基本として,英語は名詞中心表現を好むのに対して,日本語は動詞中心表現を好む点を確認しておいてください。

それでは具体例を見てみることにしましょう。The word 'expression' means the presentation of an idea by the proper and apt use of words.この文をどう解釈すればよいでしょうか。「『表現』という語は,語の適切かつ適当な使用による概念の提示を意味する」では,内容がわかっているのかどうだか疑われてもしかたありません。この文の解釈では,2つの名詞化を読みほどく必要があります。1つはthe presentation of an idea,もう1つはthe proper and apt use of wordsです。

それではまず最初のものから読みほどいていきましょう。名詞化の読みほどきの基本は,名詞に対応する動詞を見つけ,その動詞の用法を名詞化構文の各要素と関連づけることです。この場合に即して言うと,名詞presentationが動詞presentから派生している点を見抜き,この動詞が目的語をとる点を確認するわけです。元の動詞の目的語は通常前置詞ofで導かれます。以上を考慮すると,the presentation of an idea[V]present [O]an ideaと読みほどくことができ,ここから得られる理解は「概念を表すこと」となります。

the proper and apt use of wordsも同様に考えることができますが,この場合にはさらに,2つの形容詞の読みほどきも問題となります。修飾される名詞が動詞としてとらえなおされるのに伴って,形容詞も副詞としてとらえなおす必要があります。これを考慮すると[V]use [O]words [M]properly and aptlyと読みほどくことができますね。

以上をふまえて最初の文をもう一度解釈すると「『表現』とは,語を正しく的確に用いてある考えを表すという意味である」となり,かなり見通しがよくなりました。

名詞化構文の応用

それでは,もう少し複雑な例を見てみることにしましょう。The concept of a 'beginning' as an essential part of any reasoned account of phenomena, and particularly of the cosmos, seems to have occupied the human mind from earliest known times.斜字体の部分を「現象,特に宇宙のあらゆる筋の通った説明の必要不可欠な一部としての始まりという概念」では,まったく意味不明になってしまいます。特に問題となるのがのとらえ方です。名詞conceptは動詞conceiveが元になっています。さらにconceiveの用法を確認すると,conceive of A as Bというのがあります。これによって,The concept of a 'beginning' as an essential part ...conceive of a 'beginning' as an essential part ...と読みほどけます。日本語にすると「『始まり』が必要不可欠な一部であると考えること」となり,だいぶ見通しがよくなりました。さらにaccount of ...についても「〜を説明すること」と考えればよいでしょう。

さらに読みほどいていくために

さらに,any reasoned account of phenomenaanyに注目しましょう。「いかなる〜も」という意味ですが,accountを動詞として読みほどいた今,このanyも読みを転換しなければならないでしょう。名詞にかかっていた形容詞は副詞として再解釈されるので,「必ず」といった意味になると考えるとよいでしょう。

part ofについてもさらに積極的に読みほどくことが可能です。「〜の一部である」→「〜に含まれる」と考えます。この読みほどきに伴って,形容詞essentialも副詞essentiallyに転換される点にもあわせて注意してください。

以上をふまえると,The concept of a 'beginning' as an essential part of any reasoned account of phenomena, and particularly of the cosmos, seems to have occupied the human mind from earliest known times.の斜字体部分は「いろんなものごと,特に宇宙を道理の通った形で説明しようとすれば必ず「始まり」を含めなければならないと考えること」と解釈でき,ずいぶんすっきりとわかるようになりました。

Concealed Questions

I doubted the truth of her story.という文はどう解釈できるでしょうか。実はこの文に含まれるthe truth of her storyも名詞化です。ただ,この場合に名詞化されているのは動詞ではなく形容詞ですね。形容詞が名詞化された場合,of以下は通常元の形容詞の主語を導きます(もちろん,元の形容詞が前置詞ofを従える場合には,名詞化された後も同じようにofの句を従える場合があるわけですが,その点については今はおいておきます)。ということは,the truth of her storyher story is trueとなるということになりますが,この節をI doubtedの後に続ける場合,接続詞はどうなるでしょうか。I doubt whether her story is true (or not).となります。

ここで問題となるのが,間接疑問文が名詞化されているという点です。名詞化構文ははっきりした疑問のしるしを持たないので,解釈する際に疑問の意味を含んでいるのかどうかを判断しなければならないわけです。しかし,これは基本的にはそう難しいことではありません。たとえば,I don't know the town he lives in.といった文を考えてみましょう。「私は彼の住んでいる町を知らない」とも解釈できますが,「私は彼がどこの町に住んでいるか知らない」とも解釈できます。また,もっと単純にI don't know her address.という文を考えてみても,これは「私は彼女がどこに住んでいるか知らない」という意味で,ほぼ同じ意味は間接疑問文を用いてI don't know where she lives.とも表現できます。このように,間接疑問文の意味を持つ名詞句をConcealed Questionsと言います。

Concealed Questionsの発見はそう難しくありません。上で挙げた例はどれも,述語動詞が間接疑問文をとりうるもので,その点に注目した上で自然な解釈を求めていけば,気づかないというものではないでしょう。

さらに複雑な例を見てみましょう。We are beginning to understand the extent to which information technology will transform approaches to learning.のイタリックの部分もConcealed Questionであると考えることができます。これを「情報技術が学習方法を変える程度がわかりかけている」としても,どうもピンとこないでしょう。しかし,understandは間接疑問文を従える動詞であることに着目すれば,イタリックの部分をto what extent information will transform ...と書き換えることができ,「情報科学がどれだけ(←どの程度まで)学習方法を変えるかがわかりかけている」となり,ずいぶんすっきりしますね。

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